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    脊髄刺激療法(SCS) vol.1

    薬の効かない腰の痛みに、SCSというアプローチ
    概要
    こんな患者さんいませんか?
    「腰部脊柱管狭窄症の患者で、どんな薬を使っても効果が得られない」
    「腰椎手術をしたのに、改善が得られない」
    「CRPSの症状が全く改善しない」
    毎回外来のたびに憂鬱な気分。
    内服はいつか効くと信じて来院し続けてもらう。。
    そんな悩みを抱える先生、保険適用のSCSというアプローチを知っていますか?
    わかりやすく3つのPOINTでお伝えします!!
    POINT
    1
    わずか30分で終わる簡便さ
    脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation:SCS)とは
    脊髄に微弱な電気を流すことで難治性の痛みを緩和する外科的な治療方法で、日本では1992年に保険承認が得られ治療が始まりました。
    2013年以降は、日本で使用できるメーカーが3社となり、各社が競争することで製品性能が改善され、近年は欧米を中心に治療が広がっています。(2023年アメリカ27,000件、日本800件)
    脊髄刺激療法のイラスト脊髄刺激療法のイラスト
    適用
    神経障害性疼痛や末梢血流障害による慢性難治性疼痛に有効です。
    対象は、薬物療法及び神経ブロック等により十分な鎮痛、除痛効果が得られない体幹及び四肢の慢性疼痛です。
    神経障害性疼痛
    • 脊椎手術後の痛み
    • 複合性局所疼痛症候群(CRPS)
    • 切断後痛(断端痛・幻肢痛)
    • 帯状疱疹後神経痛
    • 糖尿病性ニューロパチー
    • 脊柱管狭窄症 など
    末梢血流障害
    • 閉塞性動脈硬化症(ASO)
    • バージャー病
    • レイノー病 など
    脊髄刺激療法の適用脊髄刺激療法の適用
    POINT
    2
    収益性の高さ
    代表的な症例における病院売上:645,300円/症例
    手技料:51,930点 →519,300円
    • 脊髄刺激電極を留置:27,830点
    • ジェネレーターを留置:16,100点
    • 脊髄刺激電極を2本留置:8,000点
    デバイス費用(本体の保険償還価格と納入価の差分が5%の場合):126,000円
    • 本体:保険償還価格190万円 - 納入価180.5万円 = 差分9.5万円(5%)が病院収益
    • リード:31万円 × 2本 = 保険償還価格62万円 - 納入価58.9万円 = 差分3.1万円(5%)が病院収益
    POINT
    3
    症例数に裏打ちされたエビデンス
    2023年のSCS症例数は、米国が27,000であるのに対して、日本は800となっています。人口あたりで見ると、整形外科医の数は日本の方が上回る一方で、症例数は20倍以上の乖離があります。
    米国では一般的に行われている
    米国ではトライアルはペインクリニックが、本植え込みは整形外科が行う分業制が定着し、利害関係が一致することで症例数が伸びています。
    SCS症例数SCS症例数
    慢性疼痛・術後疼痛ガイドラインにも収載されています。
    慢性疼痛・術後疼痛ガイドライン慢性疼痛・術後疼痛ガイドライン
    SCS作用機序
    現在いくつかの鎮痛機序が与えられています。
    1. 上位中枢の抑制系賦活作用
    Aβ繊維は直接後索核へ投射して中脳水道灰白質や視床に連結する。
    SCSの上位中枢への順行性伝播により、上位の痛覚の中枢である視床が刺激され、鎮痛効果が発現すると考えられ、また、中脳水道灰白質への刺激により延髄大縫線核を経て脊髄後側索を通り脊髄後角にたすうる下流性抑制系を賦活する。
    2. 脊髄後角ニューロン感情興奮抑制作用
    後索内のAβ側副枝経由の逆光性伝播により、脊髄後角内C繊維とWDRニューロンのニューロン間シナプスの異常な興奮性を抑制する。
    逆行性に広がったインパルスは、脊髄後角内の抑制および興奮性神経伝達物質のバランスが変化するように、脊髄レベルで変化を誘導すると考えられる。神経障害性痛における中枢感作は、脊髄後角内の痛み情報伝達の神経化学的変化によるものである。
    それには、興奮性神経伝達物質のグルタミン酸やアスパラギン酸の遊離増加と同時に、GABA介在性抑制の喪失である。
    SCSによる後索刺激による、グルタミン酸の細胞外濃度の減少や細胞外GABA濃度の上昇が認められて、その結果、過剰興奮のWDRニューロンが抑制されて正常化する。
    3.交感神経過剰活動の抑制作用
    Aβ後根線維の後根内への逆光性伝播により末梢へ作用する。
    SCSは抗虚血、抗狭心症作用に示されるように、交感神経系の過剰活動性を弱める。
    抗虚血作用は、後根内求心性線維を逆行性に活性化して、その結果、末梢に血管拡張作用を有するCGRPを遊離することによる。
    抗狭心症効果は、中枢神経の抑制、心臓内の安定化作用、アデノシン遊離作用によると考えられている。
    4. 下降性抑制系の賦活
    後側索には、侵害性後角ニューロンの活動を調整する下降性線維が存在するので、下降性抑制線維の直接的賦活の可能性も考えられる。
    SCS有効性
    エビデンス
    • 3D神経ターゲティングを用いたSCSは、従来のSCSと比較して、全体的な痛み、脚の痛み、および体軸性腰痛に対してより優れた効果を示しました。特に体軸性腰痛に対する効果が顕著で、24ヶ月後のレスポンダー率は71%(3D神経ターゲティングSCS)対41%(従来のSCS)でした (Veizi et al. 2017)
    • BurstDR療法は慢性内臓痛患者の痛みと生活の質を改善し、安全性も高いことが示されました。ベースラインの痛みスコアがフォローアップ時の変化と相関していたことから、潜在的な反応者を初期段階で特定できる可能性が示唆されています。 (Baranidharan G,et al. 2020)
    • 複数の波形と刺激場形状を組み合わせることができるSCSデバイスを使用した研究では、治療開始3ヶ月後に68.4%、12ヶ月後に70.0%のレスポンダー率が報告されました。また、生活の質(QOL)の有意な改善も観察されました (Metzger et al. 2020)
    • Fast-Acting Sub-Perception Therapy (FAST)を用いたSCSでは、治療開始後わずか11.2±1.9分で有意な痛みの軽減が報告され、この効果は24ヶ月後まで持続しました。全体的な痛みのNRSスコアは、ベースラインの8.4から24ヶ月後に1.6まで改善しました (Metzger et al. 2021)
    • 欧州の多施設研究では、組み合わせ療法(サブパーセプションとスープラパーセプション刺激の同時または順次送達)を好む患者が38%おり、これらの患者では痛みの有意な軽減とQOLの改善が報告されました (Kallewaard et al. 2021)
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    【引用文献】

    Veizi, E., Hayek, S. M., North, J., Brent Chafin, T., Yearwood, T. L., Raso, L., Frey, R., Cairns, K., Berg, A., Brendel, J., Haider, N., McCarty, M., Vucetic, H., Sherman, A., Chen, L., & Mekel-Bobrov, N. (2017). Spinal cord stimulation (SCS) with anatomically guided (3D) neural targeting shows superior chronic axial low back pain relief compared to traditional SCS—LUMINA study. Pain Medicine (Malden, Mass.), nw286.
    Baranidharan, G., Bretherton, B., Kay, T., Marsh, N., Romanis, C., & Roberts, B. (2020). BurstDR spinal cord stimulation in the treatment of chronic visceral pain. Pain Management, 10(5), 319–329.
    Metzger, C. S., Hammond, M. B., Pyles, S. T., Washabaugh, E. P., 3rd, Waghmarae, R., Berg, A. P., North, J. M., Pei, Y., & Jain, R. (2020). Pain relief outcomes using an SCS device capable of delivering combination therapy with advanced waveforms and field shapes. Expert Review of Medical Devices, 17(9), 951–957.
    Metzger, C. S., Hammond, M. B., Paz-Solis, J. F., Newton, W. J., Thomson, S. J., Pei, Y., Jain, R., Moffitt, M., Annecchino, L., & Doan, Q. (2021). A novel fast-acting sub-perception spinal cord stimulation therapy enables rapid onset of analgesia in patients with chronic pain. Expert Review of Medical Devices, 18(3), 299–306.
    Kallewaard, J. W., Paz-Solis, J. F., De Negri, P., Canós-Verdecho, M. A., Belaid, H., Thomson, S. J., Abejón, D., Vesper, J., Mehta, V., Rigoard, P., Maino, P., Love-Jones, S., Peña, I. F., Bayerl, S., Perruchoud, C., Bougeard, R., Mertz, C., Pei, Y., & Jain, R. (2021). Real-world outcomes using a Spinal Cord Stimulation device capable of combination therapy for chronic pain: A European, multicenter experience. Journal of Clinical Medicine, 10(18), 4085.

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